書籍

 ジャンルから検索

  ・WISC関連
  ・WAIS関連
  ・DN-CAS関連
  ・その他アセスメント関連
  ・その他

 フリーワード検索

  
  
  
   

発達障害の理解と支援のためのアセスメント

発達障害の理解と支援のためのアセスメント
著者名 前川久男、梅永雄二、中山健 編
発行年月日 2013年03月30日
判・頁数 A5 214頁 
ISBN 978-4-8210-7361-0
価格 3,024円(本体 2,800円)
在庫 在庫あり 
機関の方のお薦め購入先   販売代理店で購入する方
個人の方のお薦め購入先  
書籍概要
発達障害児・者へのアセスメントの実際を様々な切り口から解説した一冊。WISC-IVをはじめ、各アセスメントの具体的事例も掲載。

ヴィゴツキーとルリアの考え方を中心に、発達障害児・者へのアセスメントの重要性を説き、「幼児期のアセスメント」「障害種別に特化したアセスメント」「ダイナミック・アセスメント」「職業アセスメント」 等、様々な切り口からアセスメントの実際を解説した一冊。第3章の「心理検査を用いたアセスメント」では、DN-CAS、WISC-IV、WAIS-IIIを個別に取り上げ、それぞれ検査の概要から具体的事例までを紹介している。
著者・編者等紹介
【編者紹介】(第1刷発行時)

前川 久男(まえかわ ひさお)
筑波大学 名誉教授
主要著書:『日本版WAIS-Rの理論と臨床―実践的利用のための詳しい解説―』(共編、日本文化科学社)、『WISC-IIIアセスメント事例集―理論と実際―』(共編、日本文化科学社)、『講座臨床心理学③ 教育臨床心理学』(共編、コレール社)、『理解と支援の特別支援教育〈2訂版〉』(共編、コレール社)、『日本版WAIS-IIIの解釈事例と臨床研究』(共編、日本文化科学社)

梅永 雄二(うめなが ゆうじ)
宇都宮大学 教育学部 教授
主要著書:『発達障害者の雇用支援ノート』(金剛出版)、『LD・ADHD・アスペルガー症候群児の進路とサポート』(明治図書出版)、『自閉症の人の自立をめざして―ノースカロライナにおけるTEACCHプログラムに学ぶ―』(北樹出版)、『こんなサポートがあれば!―LD、ADHD、アスペルガー症候群、高機能自閉症の人たち自身の声―』1~3(編著、エンパワメント研究所)

中山 健(なかやま たけし)
福岡教育大学 教育総合研究所 附属特別支援教育センター 准教授
主要著書:『特別支援教育Q&A―支援の視点と実際―』(分担、ジアース教育新社)、『子どもの心の診療シリーズ2 発達障害とその周辺の問題』(分担、中山書店)、『障害特性の理解と発達援助[第2版]―教育・心理・福祉のためのエッセンス―』(分担、ナカニシヤ出版)、『教職専門叢書⑨ 障害児教育の基礎と展開』(分担、コレール社)


【執筆者】(五十音順、所属・肩書きは第1刷発行時)

石川 由美子
聖学院大学 人間福祉学部 准教授
井上 知洋
聖学院大学 人間福祉学部 特任講師
今中 博章
福山市立大学 教育学部 准教授
梅永 雄二
編者紹介参照
岡崎 慎治
筑波大学 人間系 准教授
川久保 友紀
東京大学 医学部 助教
佐藤 克敏
京都教育大学 教育学部 教授
鈴木 瑞哉
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター
職業リハビリテーション部 研修課長
中山 健
編者紹介参照
東原 文子
聖徳大学 児童学部 准教授
細川 美由紀
茨城キリスト教大学 文学部 准教授
前川 久男
編者紹介参照
増南 太志
川口短期大学 こども学科 専任講師
宮寺 千恵
千葉大学 教育学部 准教授
室谷 直子
常磐短期大学 幼児教育保育学科 准教授
書籍目次
第1章 発達障害のアセスメントとその目的
第2章 幼児期のアセスメント
第3章 心理検査を用いたアセスメント
 第1節 DN-CASによるアセスメント
 第2節 WISC-IVによるアセスメント
 第3節 WAIS-IIIによるアセスメント
第4章 障害種別に特化したアセスメント
 第1節 読み障害へのアセスメント
 第2節 ADHDへのアセスメント
 第3節 自閉症へのアセスメント(1)―TEACCHプログラム―
 第4節 自閉症へのアセスメント(2)―ADOS、ADI-R他―
第5章 ダイナミック・アセスメント
第6章 職業アセスメント
書籍目次詳細
序 文
第1章 発達障害のアセスメントとその目的
 1 ヴィゴツキーとルリアからアセスメントを考える
 2 機能システムとしての分析
 3 アセスメントから支援、指導へ
 4 プランニング(実行機能)の発達と支援
 5 おわりに
第2章 幼児期のアセスメント
 1 はじめに
 2 幼児期の育ちと活動(生活)
 3 幼児期の子どもの発達アセスメントの検討―オーダリング・アナリシス―
 4 具体的事例
 5 おわりに
第3章 心理検査を用いたアセスメント
 第1節 DN-CASによるアセスメント
 1 知能のPASS理論とDN-CAS
 2 DN-CASとその下位検査の開発
 3 DN-CASの結果の解釈
 4 DN-CASによるアセスメント事例
 5 DN-CASをめぐって
 6 おわりに
 第2節 WISC-IVによるアセスメント
 1 WISC-IVの概略
 2 アセスメントの対象
 3 日本版WISC-IVの実施と解釈の仕方
 4 具体的事例
 第3節 WAIS-IIIによるアセスメント
 1 アセスメントの概略
 2 どのような対象者に有効か
 3 実施と解釈の仕方
 4 具体的事例
第4章 障害種別に特化したアセスメント
 第1節 読み障害へのアセスメント
 1 アセスメントの概略
 2 どのような対象者に有効か
 3 アセスメントの実施と解釈
 4 具体的事例
 第2節 ADHDへのアセスメント
 1 ADHDの概略
 2 個別実施検査による評価
 3 評定尺度による評価
 4 具体的事例
 第3節 自閉症へのアセスメント(1)―TEACCHプログラム―
 1 はじめに
 2 CARS
 3 PEP-3
 4 TTAP
 第4節 自閉症へのアセスメント(2)―ADOS、ADI-R他―
 1 質問紙によるアセスメント
 2 構造化面接と行動観察によるASD当事者のアセスメント
 3 養育者からの聞き取りによるアセスメント
 4 まとめ
第5章 ダイナミック・アセスメント
 1 ダイナミック・アセスメントの概要
 2 発達障害児教育におけるDAとその活用
 3 カリキュラム依拠DAの実際
 4 おわりに
第6章 職業アセスメント
 1 職業アセスメントの必要性
 2 職業アセスメントとは
 3 職業アセスメントの視点
 4 職業アセスメントで把握すべき情報とその方法
索 引
あとがき

>>続きを読む

序文・はじめに・あとがき 等
【序文】

 約30年前に富山大学から筑波大学に赴任いたしました。その当時筑波大学においては、自閉症スペクトラムの子どもたちの臨床研究が小林重雄先生を中心に行われていました。私も富山大学では自閉症のお子さんや言葉の表出のないお子さんの臨床指導を行っていました。筑波大学に戻ってきてからも、小林先生と共に自閉症のお子さんの臨床指導に加わっておりました。しかし自閉症児・者の臨床指導の大家である小林先生と同じテーマで研究を続けても、同じ大学の中に同じことをやる教員が必要とされているとは思えない日々が続きました。そんな中で、後に新たな知能観からDN-CASを作ることになるDas先生が著した『同時処理と継次処理』という本に出合いました。30代の半ばでその本に書かれている内容が自分の研究の方向性になると考え学生時代に学んだVygotskyやLuriaを再度学び直し始めたのです。その当時の研究室の学生からは、「先生はデル、デス、デム、Dasしか言わない」とからかわれたほどでした。Das先生の本にそれだけ大きな影響を受けていたのだと思います。発達神経心理学を筑波大学につくりたいという思いから当時筑波大学におられた故長畑正道先生と学習障害の研究会をもつことになりました。それは発達神経心理学研究懇話会として現在まで続いてきています。そうした中で、筑波大学夜間大学院に2期生として伊豆逓信病院の小児リハビリテーション科で心理職をされていた故立川和子先生が入学され、前川が指導教員となりました。伊豆逓信病院で診断を受けても地域で学習障害の子どもが指導を受ける場がないことから日曜教室を始め、また地域の発達障害をもつ子どもたちが参加する夏のキャンプなどを実施していました。そうした実践の中で様々な子どもたちと出会い、様々なことを学ぶことができました。
 また小林先生からは、子どもの顔も見ずに心理検査の結果だけから状態像を解釈するようなことをしていけないということも学びました。そんな小林先生とWAIS-Rの標準化研究を行うことができ、その中で心理検査の標準化の手続きを学ぶことができました。そうしたことの発展として同時処理と継次処理を評価できるK-ABCという検査がアメリカで出版され、Luriaの理論を広く多くの人に知ってほしいとの思いから日本での標準化に取り組みました。K-ABCを通じてLuriaの考え方が少しは日本に広まったと思っていますが、本質的な部分がまだ十分には伝わっていないという思いが日々強まってきました。そんな中でDN-CASが出版されVygotskyとLuriaの考え方をより本質的なところから伝えられる可能性を感じ日本版の標準化に取り組み出版することができました。
 今回の本書の出版ではVygotskyとLuriaの考え方をより多くの人に知ってもらうよい機会だという思いがあります。多様な情報を基に個々の人の強い側面と弱い側面を把握し、個人が実現しようとしていることがどのように実行されているのかその構造を解釈し、その構造の弱い側面をどのように外的に支えるのか工夫し、その結果として実現できたとするならば解釈の正しさを立証したことになります。本書が、こうした繰り返しの最初のステップとしてアセスメントがあることを伝えるものとして役立つものであってほしいと思っております。
 また本書は、共に臨床を行い、研究に取り組んできた仲間がそれぞれの実践の場で考え、発展させてきたものの成果のまとめでもあります。その成果が多くの人に共有され、日本の発達障害をもつ人の生活を豊かにするための一助となることを願っています。

 前川 久男


【あとがき】

 つい最近、米国ハリウッドの映画監督スティーブン・スピルバーグが発達障害の一種であるディスレクシア(読字障害)であることをカミングアウトしました。子どものときはいじめに遭っていたそうです。しかし、彼は「映画を作ることで私は恥ずかしさや罪悪感から解放されました。映画製作は私にとっての『大脱走』だったのです」とインタビューで答えています。
 発達障害の特徴の一つに能力のバラツキがあります。LDの約7割を占めるといわれているディスレクシアは、知能は正常ですが、「読むこと」「書くこと」などに困難を抱えています。また、アスペルガー症候群等の自閉症スペクトラム者は、記憶力が高く天才的能力を示すことがあるかと思うと一般常識とはかけ離れたコミュニケーションや対人行動を生じることがあります。
 欧米では、スピルバーグのように能力に偏りがある場合、マイナス面ではなく得意な能力に焦点を当てた教育実践をしていこうという流れが出てきています。しかしながら我が国では、定型発達と異なる特性はよくないことであり、そのような偏った特性を修正することに主眼が置かれているように思われます。
 平成17年の4月に発達障害者支援法が施行され、その2年後の平成19年に小・中学校において特別支援教育が始まりました。その結果、個別の指導計画や教育支援計画の作成、特別支援教育コーディネーターの配置、校内委員会の設置など、発達障害児童生徒への教育支援が向上しました。しかしながら、高校や大学までに特別支援教育が浸透しているとは言えず、発達障害に関する専門知識のある高校や大学の教員は少ない現状です。
 よって、様々な支援機関に発達障害に詳しい専門家の養成が必要となってきています。そのためには、将来の自立を見据えた個別の教育支援を検討していくためにも、発達障害児・者の適切なアセスメントが実施されるべきだと考えます。
 アセスメントは、アセスメントを実施しただけで終わりというものではありません。教育や就労など様々な領域でどのような支援を行えば有効なのかを見つけるために実施されるべきものです。つまり、アセスメントとは発達障害児・者のことをよく知る、理解するということであり、そのアセスメントがその後の支援につながるのです。よりよい教育や支援を行おうとするとき、適切なアセスメントができていなければ誤った指導・支援につながる可能性が出てきます。
 本書によって、発達障害児・者支援におけるアセスメントの重要性を理解していただけることができれば、著者一同心からうれしく思います。
 さて、本書編著者の代表格である前川久男先生は、発達障害児・者のアセスメントの仕事に携わってこられました。日本版WISC-R・WISC-III・WISC-IV・WAIS-R・WAIS-III、日本版K-ABC、日本版DN-CASの開発に深く関わっています。その先生が平成24年3月を最後に長年勤められてきた筑波大学を退職されました。本書は、先生の退職を記念して前川先生とその門下生で執筆したものです。全国を見回してみますと、実に多くの前川先生から教えを受けた門下生が、特別支援教育の現場や研究機関で活躍されていることに気付かされます。ひとえに先生のお人柄と魅力によるものです。本来ならもっと多くの門下生の皆様に本書の執筆をお願いしたかったのですが、諸々の事情でかなわなかったことを深くお詫び申し上げます。
 このような経緯で作られてきた本書ですが、このあとがきを書いた一人が担当する節を執筆する過程でうれしいことが2つありました。
 1つめは鳥取大学・高取憲一郎先生の文献に出合ったことです。高取先生は、DN-CASの背景にあるルリアの脳モデルについて、「社会と心と脳を統一的に捉えることを可能にする私の知る限り唯一の理論である」と書いています。初めてこの一文を読んだとき、とても感激しました。そして前川先生の下で学び、DN-CASの仕事に携わることができた喜びを噛みしめました。
 2つめは、故二上哲志医師が書かれた文献に出合ったことです。二上先生が勤めていた伊豆逓信病院小児リハビリテーション科(当時)は昭和50年代からLDをはじめとする発達障害の診察と治療教育に従事してきました。このような医療機関は当時珍しく、全国から患者さんが集まってきました。二上先生は、多くの子どもや保護者から慕われ、スタッフからの信頼も厚い医師でした。寸暇を惜しんで診察に当たる姿を忘れることができません。副長の故立川和子先生が筑波大学の夜間大学院に入られたのが御縁で様々な共同研究や実践が前川研究室と小児リハ科とで行われました。細やかなお心遣いを受けて立川先生にお世話になった門下生がたくさんいます。二上先生・立川先生はじめ小児リハ科の先生方がもっていた子どもたちへのまなざしから、私たちは多くのことを学びました。このように、前川研究室における発達障害の研究は、伊豆逓信病院抜きに語ることはできません。この場を借りて志半ばで亡くなられた二上先生、ならびに門下生の一人でもある立川先生の御冥福をお祈り申し上げます。
 最後になりましたが、門下生を代表して前川久男先生の今後ますますの御活躍をお祈り申し上げます。

 平成25年3月吉日
 梅永 雄二
 中山  健 

>>続きを読む

page top