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インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援
インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援
 
東京学芸大学特別支援科学講座 編
高橋 智 編集代表
B5判246頁
定価2,940円(本体2,800円+税)
ISBN 978-4-8210-7339-9

内容紹介
  特別支援教育・特別ニーズ教育の入門書・テキスト。
 
生涯発達支援を軸に、幅広い視点から基本的事項を解説。

 「生涯発達支援」を軸に、特別支援教育・特別ニーズ教育の現状・システムやこれまでの歴史的展開、それぞれの障害に関する生理・心理、保育・早期教育、学校教育、移行支援・福祉といった幅広い視点から、基本的内容や事項を学べるよう編まれた入門書・テキスト。発達支援における実践的課題、障害理解・支援に関わる専門職種、免許・資格ガイド及び研究情報ガイドも加え、実践面や研究面に向けても視野が広がる一冊。

 
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編集代表紹介目次目次詳細まえがきあとがきリーフレットpdf(257KB)
編集代表紹介(第1刷時)

高橋 智(たかはし さとる)
  1954年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部卒業(1978)、東京学芸大学大学院修士課程修了(1981)、東京都立大学大学院博士課程修了(1986)、博士(教育学)。日本学術振興会特別研究員、東京都立大学助手、日本福祉大学助教授を経て、現在、東京学芸大学特別支援科学講座教授・大学院連合学校教育学研究科博士課程担当。日本学術振興会学術システム研究センター専門研究員、日本特殊教育学会常任理事・常任編集委員、日本特別ニーズ教育学会理事・編集委員、教育史学会編集委員等を兼務。
  主な著作:『城戸幡太郎と日本の障害者教育科学』多賀出版、『講座・転換期の障害児教育』全11巻・三友社出版、『障害児教育大事典』旬報社、『わが国における「精神薄弱」概念の歴史的研究』多賀出版ほか。
  受賞:「三島海雲記念財団第45回学術奨励賞」(2007)、「第4回学事出版教育文化賞(優秀賞)」(2007)、「第28回国際理解教育賞(奨励賞)」(2003)、「第10回杉田賞」(1985)など。

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目次

まえがき
第1章 特別支援教育の現状とシステム
第2章 視覚障害の理解と生涯発達支援
第3章 聴覚障害の理解と生涯発達支援
第4章 言語障害の理解と生涯発達支援
第5章 知的障害の理解と生涯発達支援
第6章 自閉症スペクトラムの理解と生涯発達支援
第7章 LD、ADHDの理解と生涯発達支援
第8章 肢体不自由の理解と生涯発達支援
第9章 重症心身障害の理解と生涯発達支援
第10章 病気療養の理解と生涯発達支援
第11章 障害・特別ニーズを有する子どもの特別教育史
第12章 学齢期の障害理解と発達支援の実践的課題
第13章 青年・成人期の障害理解と生涯発達支援の実践的課題
第14章 障害理解・支援に関わる専門職種、免許・資格ガイド及び研究情報ガイド
資料・関連法規抄録
事項・人名索引
あとがき

目次詳細

まえがき
第1章 特別支援教育の現状とシステム
  コラム●気になる子どもと特別ニーズ保育
  コラム●軽度発達障害児への支援──矯正教育の現場から
第2章 視覚障害の理解と生涯発達支援
  コラム●世界で活躍する視覚障害の音楽家
  第1節 生理・心理の視点から
  第2節 保育・早期発達支援の視点から
  第3節 教育の視点から
  第4節 移行支援・福祉の視点から
  コラム●視覚障害者の感覚能と脳の可塑性
第3章 聴覚障害の理解と生涯発達支援
  コラム●人工内耳
  第1節 生理・心理の視点から
  第2節 保育・早期発達支援の視点から
  第3節 教育の視点から
  第4節 移行支援・福祉の視点から
  コラム●手話と聾文化
第4章 言語障害の理解と生涯発達支援
  コラム●ホーキング博士とコミュニケーション・エイド
  第1節 生理・心理の視点から
  第2節 保育・早期発達支援の視点から
  第3節 教育の視点から
  第4節 移行支援・福祉の視点から
  コラム●脳イメージング研究と言語
第5章 知的障害の理解と生涯発達支援
  コラム●重度知的障害児の「かず」の学習
  第1節 生理・心理の視点から
  第2節 保育・早期発達支援の視点から
  第3節 教育の視点から
  第4節 移行支援・福祉の視点から
  コラム●養護学校高等部卒業後の進路保障
第6章 自閉症スペクトラムの理解と生涯発達支援
  コラム●発達障害の子どもと睡眠障害
  第1節 生理・心理の視点から
  第2節 保育・早期発達支援の視点から
  第3節 教育の視点から
  第4節 移行支援・福祉の視点から
  コラム●動き出した中国の自閉症児療育と求められる日本の支援
第7章 LD、ADHDの理解と生涯発達支援
  コラム●学習障害児の自己理解と障害理解
  第1節 生理・心理の視点から
  第2節 保育・早期発達支援の視点から
  第3節 教育の視点から
  第4節 移行支援・福祉の視点から
  コラム●LD児の書字困難と書字支援
第8章 肢体不自由の理解と生涯発達支援
  コラム●医療的ケアの最前線
  第1節 生理・心理の視点から
  第2節 保育・早期発達支援の視点から
  第3節 教育の視点から
  第4節 移行支援・福祉の視点から
  コラム●映画・マイレフトフット
第9章 重症心身障害の理解と生涯発達支援
  コラム●重症心身障害児と心理的ストレス
  第1節 生理・心理の視点から
  第2節 保育・早期発達支援の視点から
  第3節 教育の視点から
  第4節 移行支援・福祉の視点から
  コラム●重症心身障害児の意思表出と言語野の活動
第10章 病気療養の理解と生涯発達支援
  コラム●病棟に笑いを!──クリニクラウン
  第1節 生理・心理の視点から
  第2節 保育・早期発達支援の視点から
  第3節 教育の視点から
  第4節 移行支援・福祉の視点から
  コラム●スウェーデンの病気の子どもの教育
第11章 障害・特別ニーズを有する子どもの特別教育史
  コラム●デューイ実験学校と特別な教育的配慮の実践
  コラム●愛育研究所「異常児保育室」
第12章 学齢期の障害理解と発達支援の実践的課題
  コラム●特別支援教育地域ネットワーク
  第1節 特別支援教育コーディネーターの役割と課題
  第2節 生涯発達支援のための個別の教育支援計画
  第3節 中学校特別支援学級と思春期障害児の発達支援
  第4節 高校における発達障害問題と発達支援の課題
  第5節 高等部の進路学習の実践と移行支援
  コラム●養護学校幼稚部と就学の移行支援
第13章 青年・成人期の障害理解と生涯発達支援の実践的課題
  コラム●軽度の発達障害学生が学ぶ通信制大学
  第1節 障害者とセクシュアリティー─障害のある人の性と生を支える視点─
  第2節 知的障害者の早期退行・老化と生涯発達支援
  第3節 知的障害者の生涯発達支援と大学公開講座の実践
  第4節 養護学校卒業生の生涯発達と芸術文化活動─「若竹ミュージカル」の実践─
  第5節 聴覚障害者が遭遇する社会的問題と生活支援
  コラム●ケアマネジメント
第14章 障害理解・支援に関わる専門職種、免許・資格及び研究情報ガイド
  コラム●スウェーデンの高度なSNE専門職「特別教育家」
  第1節 障害関連の専門職種・免許・資格ガイド
  第2節 障害理解を深めるための研究情報活用ガイド
  コラム●広がる音楽療法士の仕事
資料・関連法規抄録
事項・人名索引
あとがき

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まえがき
まえがき
  本書は特別支援教育を初めて学ぼうとする学生や小・中・高等学校の先生、さらに障害問題に関心のある市民の方々を対象にした入門書・テキストである。
  入門書・テキストであるが、類書とは大きく異なり、「生涯発達支援」という視点を軸にしながら、特別支援教育・特別ニーズ教育の現状・システムやこれまでの歴史的展開、それぞれの障害に関する生理・心理、保育・早期教育、学校教育、移行支援・福祉といった幅広い視点から、基本的内容や事項を一通り学んでいただけるよう配慮した。また各章の内容に合わせて掲載した「コラム」では、読者の方々の学習意欲を刺激できるように、最先端の研究動向や現代のトピックについて紹介させていただいた。さらに第12章、第13章では発達支援における実践的課題、第14章では障害理解・支援に関わる専門職種、免許・資格ガイド及び研究情報ガイド加えたが、実践面や研究面に向けても視野を広げていただけるものと思う。
  インクルージョンの国際的動向のなかで、日本においても障害・特別ニーズを有する多様な子どもや市民に対応するべく、これまでの特殊教育や障害児者福祉の展開を踏まえながら、特別支援教育という新たな支援体制の充実・発展に向けて動き出した。このような動向のもとで、特別な支援を乳幼児期から成人期に至る生涯発達の視点から理解することはとても重要なことと考える。読者の方々には本書を通じて障害理解への扉を開いていただくとともに、本書を礎として発展的学習や研究に向けての第一歩を踏み出していただきたいと考えている。
  本書の編集は東京学芸大学総合教育科学系特別支援科学講座によるものであり、執筆にあたっては本講座と関連の深い大学教員・研究者・博士課程学生、特別支援学校や療育・福祉機関の教師・専門職など多数の方々に執筆をお願いした。それぞれの章や節を読み込んでいただくことで、「幅広い」領域についての「奥深い」専門性や思いを感じていただけるものと自負している。本書が障害・特別ニーズについて学ぼうとする方々にとっての一助となればこのうえない幸せである。
  なお最後に、「障害」という用語の使用と表記について一言申し添える。それについては多様な考え方や議論があり、まとまっていないのが現状であり、またそのことに拘泥するのはあまり建設的ではないと考えている。そうした場合には法律・国の表記に準ずるのが最も適切であると判断し、文中のように表記している。それは「障害」に限らず、それ以外の用語についても同様である。

2007年7月
東京学芸大学総合教育科学系
特別支援科学講座

あとがき
あとがき
  初めて特別支援教育を学ぶ学生・教職員・市民を読者に想定して編集された本書は、2000(平成12)年12月に刊行された鮫島宗弘監修『障害理解への招待』日本文化科学社の趣旨・理念を受け継ぎつつも、2007(平成19)年度より本格実施された特別支援教育のシステムやインクルージョン・特別ニーズ教育などの国際的動向の進展に合わせて内容・執筆者を一新し、東京学芸大学総合教育科学系特別支援科学講座の責任編集により新規に出版されるものである。
  さて前書の監修にあたられた故鮫島宗弘先生(当時、東京学芸大学教授・大学院博士課程講座主任)は、その「まえがき」において次のように述べておられる。今日においても重要なご指摘であるので一部抜粋する。

  「“『人工視力』米で成功”というニュース報道が目に飛び込んできた。遂に実現したのかと心が震えた。……米国の研究グループは、30年間かけて実現にまでこぎつけた。それを支えていたのは、『見えない』状態を『見える』ようにするというドラスティックな転換に向けての情熱と執着であったのであろう。人工視力の開発が果たした貢献は計り知れないものがある。……人工視力の例にみられるように、近年、障害と障害者の問題は国内外において大きな関心を集め、それにかかわる研究と実践の諸領域や関係者数も急速に拡大発展している。障害と障害者の問題は、かつてのようにごく一部の人が取り組む“特殊”な問題ではなく、“普遍的(ユニヴァーサル)”なものへと大きく変化してきているのである。障害と障害者問題の世界が、じつに興味深く、そして21世紀に大きく発展していく可能性に満ちたものであることを知っていただくために、本書を編集した」。

  障害と障害者の問題は「“特殊”な問題ではなく、“普遍的(ユニヴァーサル)”なもの」であり、また「21世紀に大きく発展していく可能性に満ちたものであること」という鮫島先生のご指摘は、まさに正鵠を射たものである。
  すなわち前書から7年しか経過していないが、障害と障害者問題に対応する学問と実践は、1.国内では特殊教育から特別支援教育へとシステムを変更し、国際的には特別ニーズ教育や障害者権利条約に示されるインクルージョンの方向に展開、2.多様な特別ニーズを有する子ども・青年・成人の生涯発達支援というように支援対象の枠組みの拡充や教育・福祉・医療・就労等の関係機関との連携・協働によるライフステージに応じた支援ネットワークの構築、3.IT・脳科学・認知神経科学・障害科学・ユニヴァーサルデザインなどの新科学技術の発展などに端的に示されるように、ご指摘された「普遍的(ユニヴァーサル)」な方向において大きな変化を遂げているのである。
  そうした変化・動向を踏まえて本書のタイトルを『インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援』とし、生理・心理、保育・早期発達支援、教育、移行支援・福祉、学齢・青年・成人期の実践的課題という5つの視点から、生涯発達支援についての簡潔な整理を行うことに努めた。
  限られたページ数のなかで最善を尽くしたつもりであるが、割愛せざるを得なかった領域や十分に説明しきれなかった内容も数多く残されている。たとえば近年は、アスペルガー障害や高機能自閉症と診断された本人・当事者の手記が数多く出版され、本人・当事者が抱えている特有の困難・ニーズについて次第に関心が向けられつつあるが、そうした問題への言及は不十分である。またアジアや第三世界の障害児教育への国際協力開発も重要な課題であるがふれることができずに終わった。
  障害問題を取り巻く状況は時々刻々と変化しており、新たな課題が提示され、新しい考え方や技術が生まれている。常に最新の動向や知見に目を向け、読者の方々のニーズに応えるべく、本書も機会をおって改訂を行っていきたいと考えている。読者の方々からの忌憚のないご検討、ご批判をお願い申し上げる。
  なおこの間、関連法制の制定・改定(教育基本法・学校教育法・教育職員免許法・障害者自立支援法・発達障害者支援法等)が相次ぎ、事前に集っていた本書の原稿の修正を何度も余儀なくされてしまったために、本書の刊行が予定よりも大幅に遅れてしまった。半ばやむを得ない事態とはいえ、早くから原稿を寄せていただいた執筆者の方々にはお詫び申し上げる。

2007年7月
編集代表 高橋 智
編集担当 澤 隆史
      藤野 博
      加瀬 進

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