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AD/HD・高機能広汎性発達障害の教育と医療
AD/HD・高機能広汎性発達障害の教育と医療
竹田契一 監修
竹田契一・若宮英司・里見恵子・西岡有香 著
かわはらみわ イラスト
B5判244頁
定価2,940円 (本体2,800円+税)
ISBN 4-8210-7335-8
ISBN 978-4-8210-7335-1

内容紹介
  AD/HD・高機能広汎性発達障害のよりよい理解と適切なアセスメントのために、医学的見地を踏まえ教育的対応法を説く!

AD/HDおよび高機能広汎性発達障害の子どもは、教育と医療、家庭が連携し、その育ちをうまく支えていく必要の高い子どもたちです。本書は、教師や保護者がこれらの子どもたちのことをうまく理解でき、プロセスを踏みながら、適切な援助について自ら考えることができることを目的にしています。
この本では、子どもが起こす問題が、行動の問題なのか、学習の基礎となる認知の問題なのか、それとも対人関係のとり方等の社会性の問題なのかというように、その問題の背景にある特徴に分け、またその原因にも目を向けて、それらへの対策を考えていく手法をとっています。子どもをみる視点に「行動」「認知」「社会性」という3つの軸をもつことによって、これまでわかりにくかった子どもがすっきりとみえてきて、適切な援助につなげていけることをねらいにしています。

 
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著者紹介目次目次詳細まえがきリーフレットpdf(321KB)amazonなか見!検索
著者紹介(第1刷時)

●竹田 契一(たけだ けいいち)
1961年 米国アスベリー大学卒業
1962年 米国ピッツバーグ大学大学院言語病理学科修了
1965年 ミシガン大学大学院言語病理学科中途帰国
1975年 慶応大学医学部医学研究科修了、医学博士
1976年 大阪教育大学聴覚言語障害児教育教員養成課程助教授
1983年 大阪教育大学障害児教育講座教授
2002年 大阪教育大学退官
現在、大阪教育大学名誉教授、大阪医科大学小児科客員教授を経て大阪医科大学LDセンター顧問、特別支援教育士資格認定協会会長、日本INREAL研究会会長
【主な著書】
編著:『インリアル・アプローチ』日本文化科学社
共著:『標準失語症検査(SLTA)』鳳鳴堂書店、『障害児理解の方法』『障害児指導の方法』学苑社、『図説 LD児の言語・コミュニケーション障害の理解と指導』日本文化科学社

●若宮 英司(わかみや えいじ)
1980年 大阪医科大学卒業、大阪医科大学小児科学教室入局
1987年 大阪医科大学大学院博士課程修了、医学博士
1987年〜大阪労災病院、北摂総合病院などで小児科医として勤務(2002年〜大阪医科大学非常勤講師兼務)
2004年 藍野大学医療保健学部看護学科教授
現在、藍野大学医療保健学部看護学科教授、日本小児精神神経学会評議員
【専門免許など】
日本小児科学会専門医、日本小児神経科専門医
【主な著書】
共訳:『LD・学習障害事典』明石書店

●里見 恵子(さとみ けいこ)
1975年 北海道教育大学教育学部卒業、北海道白老町立白老小学校ことばの教室教諭
1977年 北海道教育大学言語障害児教育教員養成課程修了
1983年 大阪教育大学研究生修了
1984年 大阪市更生療育センター言語療法士、療育部主任
1996年 大阪府立大学社会福祉学部講師
2002年 大阪府立大学社会福祉学部助教授
現在、大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科助教授、日本INREAL研究会事務局長、日本LD学会常任理事、特別支援教育士資格認定協会副会長
【専門免許など】
言語聴覚士、インリアル・スーパーバイザー、特別支援教育士スーパーバイザー
【主な著書】
編著:『インリアル・アプローチ』日本文化科学社
共著:『障害児指導の実際』学苑社、『図説 LD児の言語・コミュニケーション障害の理解と指導』『実践インリアル・アプローチ事例集』日本文化科学社
分担執筆:『ダウン症者の社会生活』保健同人社

●西岡 有香(にしおか ゆか)
1979年 神戸市外国語大学英米学科卒業
1980年 大阪教育大学特殊教育特別専攻科言語障害教育専攻修了
1980年〜 清恵病院、大阪警察病院などにて言語療法士として勤務
1994年 大阪教育大学大学院教育学研究科修士課程障害児教育専攻修了、教育学修士
1994年 神戸YMCAサポートプログラムに勤務
現在、神戸YMCAサポートプログラム、大阪医科大学LDセンター研修開発部、星槎大学非常勤講師、日本LD学会常任理事
【専門免許など】
言語聴覚士、学校心理士、特別支援教育士スーパーバイザー
【主な著書】
共著:『LD児サポートプログラム』『図説 LD児の言語・コミュニケーション障害の理解と指導』日本文化科学社
分担執筆:『軽度発達障害の心理アセスメント』日本文化科学社、『ことばの心理と科学』金の星社
監訳:『LD・学習障害事典』明石書店

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目次

第1章 この本の見方
第2章 AD/HD(注意欠陥/多動性障害)
第3章 高機能広汎性発達障害
第4章 行動・社会性のつまずきの見方
第5章 行動と社会性と学習へのアプローチ
第6章 評価と個別の指導計画
第7章 アメリカのLD・AD/HD等の教育の紹介

コラム28編

目次詳細

はじめに
第1章 この本の見方
   1 この本の特徴
   2 AD/HD、広汎性発達障害は医療と教育の連携が必要な障害
   3 認知心理学・神経心理学的見方
   4 認知、行動、社会性の見方──子どもをみる視点
第2章 AD/HD(注意欠陥/多動性障害)
   1 AD/HDとは
      (1) 診断基準
      (2) AD/HDと似ている状態について
   2 頻度
   3 経過
   4 診断に用いられる検査
      (1) 質問式検査
      (2) CPT(Continuous Performance Test)
      (3) その他の検査
   5 投薬
   6 併存する問題点
   7 不注意優勢型AD/HD──見逃されやすいサブタイプ
   8 今後の展望
第3章 高機能広汎性発達障害
   1 わかりにくい子どもたち
   2 広汎性発達障害と自閉症について
   3 広汎性発達障害の基本を理解する
      (1) 社会的・対人的な関係を結ぶ能力(対人相互反応)の障害
      (2) コミュニケーションの能力の障害
      (3) 思考柔軟性の障害(こだわり)
      (4) その他の問題
   4 広汎性発達障害ってわかりにくい?──さまざまな表れ方をする広汎性発達障害
      (1) スペクトラム(連続性)障害とは
      (2) 高機能広汎性発達障害とアスペルガー障害
      (3) 高機能広汎性発達障害──誤解される子どもたち
      (4) 状況と経過によって変化する症状
   5 広汎性発達障害(とその症状)に対処する
      (1) 広汎性発達障害の子どもに共通する対応の仕方
      (2) 二次障害について──心の中で起こっていること
   6 心の理論・中枢性統合の障害と意味・語用論でのつまずき
      (1) 心の理論とは
      (2) 心の理論障害説から中枢性統合障害説へ
      (3) 高機能広汎性発達障害の子どものコミュニケーションの問題
      (4) 理解と援助の基本
第4章 行動・社会性のつまずきの見方
   1 社会性の見方
   2 テストとその結果の見方
      (1) 生育歴
      (2) 臨床観察チェックリスト
      (3) 知能検査──WISC-III
      (4) 情報処理のタイプをみる──K-ABC
      (5) 言語能力・視覚認知能力をみる検査
      (6) 注意機能の検査
   3 評価診断事例
      (1) AD/HDと診断がつくケース
      (2) 不注意優勢型AD/HDと診断がつくケース
      (3) アスペルガー障害と診断がつくケース
      (4) 知的障害と診断がつくケース
第5章 行動と社会性と学習へのアプローチ
   1 AD/HDの行動へのアプローチ
      (1) 行動療法による問題行動への対処方法
      (2) 集団場面での行動療法
      (3) ペアレントトレーニングとは
   2 社会性へのアプローチ
      (1) 子どもが学ぶべきこと
      (2) メタ認知能力
      (3) ソーシャルスキルトレーニング
   3 学習へのアプローチ
      (1) 認知の偏りによって起こる学習の問題
      (2) 読み書きの問題について
      (3) 注意の問題に目を向けた指導法
第6章 評価と個別の指導計画
   1 個別の指導計画の立て方
      (1) 個別の指導計画とは
      (2) 実態把握
      (3) 目標を立てる
      (4) 手だてを考える
   2 AD/HDの子どもの事例
      (1) 対象の子ども
      (2) 担任の子どもの理解
      (3) 保護者の理解
      (4) 診断と検査
   3 アスペルガー障害の子どもの事例
      (1) 対象の子ども
      (2) 担任の子どもの理解
      (3) 家庭での対応
      (4) 診断と検査
   4 AD/HDと読み書き障害の生徒の事例
      (1) 対象の生徒
      (2) 診断と検査
   5 不注意優勢型AD/HDの子どもの事例
      (1) 対象の子ども
      (2) 担任の子どもの理解
      (3) 診断と検査
第7章 アメリカのLD・AD/HD等の教育の紹介
   1 はじめに
   2 法的根拠に基づく教育
   3 カリフォルニア州エルクグローブ学校区の特殊教育見学
      (1) 学校区の概要
      (2) 発見から指導まで──3段階によるスクリーニングと指導システム
      (3) 特殊教育サービスの内容
   4 LDのための私学教育
      (1) ディスレキシアのための学校
      (2) ディスレキシアとギフテッド・ディスレキシアのためのアセッツ・スクール
   5 自閉症スペクトラムのためのNPOによる学校
      (1) 歴史と組織
      (2) 高機能自閉症のための学校
   6 これからの日本の特別支援教育
索引

コラム
  成人のAD/HDの悩み
  DAMP症候群─注意集中障害と運動知覚障害を併せもつ子どもたち─
  不器用への対策
  AD/HD不注意優勢型のCさんに聞く─不注意な状態とはどんな感じなの?─
  家事をするのは難しい その1─カレーの作り方─
  家事をするのは難しい その2─洗濯─
  実行機能とは
  ワーキングメモリー(作業記憶)とは
  指示が聞けないのは?
  4つの軸から考える広汎性発達障害のタイプ
  成人のアスペルガー
  比喩表現は難しい
  高機能広汎性発達障害の子どもたちが理解しにくいことば
  ト書き発言による援助
  この人は誰?─相貌認知の弱さをもつI君─
  言語性IQと動作性IQの違い
    ─言語性IQ80、動作性IQ110の人と言語性IQ110、 動作性IQ80の人の違い─
  分類してみよう
  ソーシャルスキルを系統的に教える
  ソーシャルスキルを教える─ジェスチャーゲームをしてみよう─
  教室のルールを教える
  漢字と英語の難しさ
  英語学習の仕方
  日曜日(にちようび)となぜ読める?
  九九を覚える─7の段は特に難しい?─
  個別の指導計画の判断を失敗すると
  会話の中の要素─教えられるものと教えられないこと─
  話し方を教える
  会話の指導─聞き方の指導─

まえがき
はじめに
  最近私は、小・中学校の巡回指導で、児童・生徒の様子を教室内で観察する機会が増えてきました。注意の持続がない、落ち着きがない、ひとこと多く多弁、暴言を吐く、衝動性が強くトラブルメーカーになりやすいなど、通常学級の中で担任を困らせるAD/HD(注意欠陥/多動性障害)ではないかと考えられる子どもや、学力面では課題が少ないのに集団生活への適応が悪く、友達関係ができない、トラブルが多い等の、高機能広汎性発達障害の子どもが増えています。この本は、学校現場でこれらの子どもたちのかかわり方がわからず困っている教師たちのために書かれたものです。
  さて、日本でも、LD(学習障害)、AD/HD、高機能広汎性発達障害などを対象とした特別支援教育が本格的にスタートすることになりました。しかし、全国47都道府県すべてに、一人ひとりのニーズに合わせた教育が行き渡るのに何年かかるのでしょうか。
  アメリカでは、1975年に有名なPL94-142と呼ばれる全障害児教育法がスタートしました。この法律は障害児教育における画期的な内容を含んだ法律で、すべての子どもに無償で適切な教育が保障されるとともに、生徒の教育指針となる個別教育計画(IEP)の作成・実施が義務づけられていました。しかし、1990年に制定されたIDEA個別障害者教育法までは「笛吹けど踊らず」の状態で全米レベルでは必ずしも満足のいく結果が得られなかったのが実情でした。1975年以降、さまざまな反省があり、15年経過した1990年に初めて理想に近い形のIDEAが成立し、今に至っています。
  日米を比較した場合、軽度の発達障害の教育はアメリカより30年遅れていると考えられています。しかし驚くべきことに、アメリカの障害定義に含まれている13種類の項目の中にAD/HDは入っていません。その結果、AD/HDのみではIEP実施に至らないことから教育の中でのAD/HD対策は、一部の地域を除いて、LDなどに比べて比較にならないほど遅れてきました。
  また不注意優勢型のAD/HDはLDと合併しやすく、アスペルガー障害や高機能自閉症などは幼児期に不注意で落ち着きがなく多動傾向にあることから、全体にAD/HDとの鑑別に苦労する事例が非常に多いのも事実であります。
  本書では、AD/HDと高機能広汎性発達障害へのかかわり方なども含めて最近の考え方をわかりやすく事例を交えて解説しています。さらにこの本の重要性を高めているのは、教育現場でアセスメントから個別の指導計画を立てるプロセスを示し、具体的な指針が得られるように書かれている点です。またコラムでは、AD/HDや高機能広汎性発達障害の子どものエピソードや指導のヒントを提供している点にあると思います。
  読者の皆さんが、この本を通してAD/HDや高機能広汎性発達障害のある子どもたちへの学校現場での指導をどのように考えていけばよいのかについて、示唆に富む有益な情報が得られることを大いに期待しています。
(監修:竹田 契一)



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